V2Ray カスタムルーティングルール構文解説:domain・ip・geosite の判定順

ルーティングルールにおける domain、ip、geosite、geoip の書式と意味を解説。上から順に適用される優先順位、outboundTag の役割、ルールが効かないときの切り分け方を紹介します。

この記事の要点

この記事は、ノードのインポートとシステムプロキシの有効化ができ、v2rayN または Xray の設定で接続先を細かく制御したい方向けです。ドメインと IP のルール構文、ルール配列の走査順、同一ルール内の組み合わせ、domainStrategy の影響、ログと生成済み設定から振り分けの問題を特定する方法を扱います。

ルーティング処理の流れと最初の一致の原則

V2Ray と Xray のルーティングモジュールはノード接続を確立するものではありません。リクエストがコアに入ると、対象ドメイン、対象 IP、ポート、ネットワーク種別、インバウンドタグなどをもとにアウトバウンドを選択します。最終的な選択先は通常、proxydirectblock など、定義済みアウトバウンドを指す outboundTag で決まります。

ルールは routing.rules 配列に格納され、コアは先頭から順に確認します。あるルールの条件をすべて満たすと走査は直ちに終了し、その後のルールは今回のリクエストには適用されません。そのため、「具体的なルールを前に、広いルールを後ろに」が安定した設定の基本です。

リクエスト受信対象情報の取得ルール走査アウトバウンド選択接続確立

同じルール内の異なるフィールドは通常「かつ」の関係です。たとえば domainport を同時に指定した場合、対象はドメイン条件とポート条件の両方を満たす必要があります。一方、1つのフィールド内に複数の項目を指定した場合は通常「または」の関係です。たとえば domain 配列に3つのドメインを並べると、そのいずれか1つに一致すればフィールドの条件を満たします。

配置関係 判定方法 実際の結果
異なるルール間 上から順に走査 最初に完全一致したルールを適用
同一ルール内の異なるフィールド すべて満たす domain と port の両方が一致して初めて適用
同一フィールド内の複数の値 いずれか1つが一致 配列内の項目は「または」として処理
一致するルールがない場合 デフォルトのアウトバウンドを使用 通常は設定内の最初に利用可能なアウトバウンドへ送られる

domain:完全一致・サブドメイン・キーワードによるマッチング

domain フィールドは対象ホスト名を処理します。よく使うプレフィックスは full:domain:keyword:regexp:geosite: です。プレフィックスによって一致範囲が決まるため、選択を誤ると対象範囲が広すぎたり、まったく一致しなかったりします。

full:example.com は完全なホスト名 example.com だけに一致し、www.example.com は同じ対象として扱いません。一方、domain:example.com はそのドメインとサブドメインに一致するため、同じサイト群を同じアウトバウンドへ振り分けるのに適しています。

{
  "type": "field",
  "domain": [
    "full:api.example.com",
    "domain:static.example.net",
    "keyword:media",
    "regexp:^cdn-[0-9]+\\.example\\.org$"
  ],
  "outboundTag": "proxy"
}

完全一致のインターフェースルール

フィールド
domain
書式
full:api.example.com
範囲
単一の完全なホスト名
アウトバウンド
proxy

対象範囲が明確で、サブドメインまで巻き込みたくない接続に使います。

サイト全体を直接接続するルール

フィールド
domain
書式
domain:example.cn
範囲
メインドメインとサブドメイン
アウトバウンド
direct

対象サイトのすべてのサービスを同じ出口から接続する場合に適しています。

完全一致のドメインをカテゴリルールの例外にする場合は、完全一致のルールを前に置きます。たとえば先に full:download.example.com を直接接続へ向け、その後に domain:example.com をプロキシへ向けます。順序を逆にすると、ダウンロード用ドメインはサイト全体のルールに先に取り込まれます。

ip と geoip:アドレス範囲の一致とドメイン解決条件

ip フィールドには、単一アドレス、CIDR アドレス範囲、geoip: カテゴリを指定できます。単一の IPv4 アドレスは 198.51.100.20、ネットワーク範囲は 198.51.100.0/24 のように記述します。IPv6 のアドレス範囲も CIDR で表し、たとえば 2001:db8:1200::/48 のように指定します。

geoip:private は、LAN、ループバック、その他のパブリックネットワークではないアドレスの判定によく使われます。これらを直接接続ルールの前方に置くと、ローカルルーターの管理画面、LAN 上のファイルサービス、ローカルインターフェースがリモートプロキシへ送られるのを防げます。

{
  "type": "field",
  "ip": [
    "geoip:private",
    "192.0.2.0/24",
    "2001:db8:1200::/48"
  ],
  "outboundTag": "direct"
}

IP ルールで、もともとドメイン名で開始されたリクエストを処理できるかどうかは、domainStrategy にも左右されます。対象にドメイン名しかなく IP がない場合、コアはそのドメインを解決するかどうかを判断し、解決結果を ip ルールと照合します。

10808
よく使われるローカル SOCKS ポート
10809
よく使われるローカル HTTP ポート
/24
IPv4 ネットワークプレフィックスの例
1件
1回のリクエストで最終的に一致したルール
domainStrategy 名前解決の動作 適用の目安
AsIs ドメインをそのままルーティングに使用し、IP ルールのための解決は行わない 主に domain と geosite で振り分ける
IPIfNonMatch ドメインルールに一致しなければ IP を解決して確認を続ける ドメインルールを優先し、IP カテゴリを補助として使う
IPOnDemand 対象 IP が必要なルールに到達した時点で必要に応じて解決する 前方に重要な IP ルールがある設定

結論:まず名前解決の方針を決めてから IP ルールを評価する

対象がドメイン名で入り、設定が AsIs の場合、後方の geoip ルールに一致しなくてもアドレスデータベースが無効とは限りません。まず domainStrategy を確認し、次にログの対象形式を確認すれば、CIDR やルール順を何度も変更せずに済みます。

geosite と geoip の違い

geosite はドメインの集合で、geoip は IP アドレスの集合です。両者は異なる段階の情報分類を扱うため、相互に置き換えることはできません。サイトが動的アドレスや共有クラウドサービスを使っていたり、名前解決の結果を頻繁に変更したりする場合は、固定 IP 範囲よりもドメイン集合のほうがサービスの所属を表しやすいことがあります。

geosite:cn ルールは、対象ドメインが対応するカテゴリに含まれるかどうかで判定します。一方、geoip:cn ルールは、対象 IP が対応するアドレス集合に含まれるかどうかで判定します。ドメインとサーバーの所在地は必ずしも一致しないため、同じ接続に対して異なる分類結果になる場合があります。

geosite ドメイン集合

入力
対象ドメイン
geosite:cn
依存データ
ドメインデータファイル
主な用途
サービスの所属に基づく振り分け

対象アドレスが変わっても、ドメインルールによる安定した指定を維持できます。

geoip アドレス集合

入力
対象 IP
geoip:private
依存データ
アドレスデータファイル
主な用途
LAN と地域アドレスの振り分け

ドメインリクエストをアドレス判定へ進めるかどうかは domainStrategy が制御します。

データファイルは、コアのバージョンと設定で利用できる機能に適合している必要があります。「failed to load geosite」やカテゴリ名を認識できないエラーが出た場合は、まずデータファイルがコアの実際の読み込み先にあるか確認し、次にカテゴリ名が存在するか確認します。ルールの順番を変えるだけでは、データファイルの欠落は直りません。

outboundTag と完全なルール構成

outboundTag の値は、outbounds 配列内にあるいずれかのアウトバウンドの tag と完全に一致している必要があります。大文字・小文字の違いも別名として扱われます。ルールを "outboundTag": "direct" と記述する場合、設定内に direct というタグのアウトバウンドが存在しなければなりません。

典型的な順序は、プライベートアドレスの直接接続、具体的な例外、カテゴリによる振り分け、フォールバック処理の4層に分けられます。特定のドメインやポートに関わるブロックルールは、それを覆う可能性のある広範なプロキシルールより前に置きます。

{
  "routing": {
    "domainStrategy": "IPIfNonMatch",
    "domainMatcher": "hybrid",
    "rules": [
      {
        "type": "field",
        "ip": ["geoip:private"],
        "outboundTag": "direct"
      },
      {
        "type": "field",
        "domain": ["full:updates.example.com"],
        "outboundTag": "direct"
      },
      {
        "type": "field",
        "domain": ["geosite:cn"],
        "outboundTag": "direct"
      },
      {
        "type": "field",
        "ip": ["geoip:cn"],
        "outboundTag": "direct"
      }
    ]
  }
}
  1. 1つ目は LAN とローカルアドレスを処理し、内部サービスがプロキシ経路へ入るのを防ぎます。
  2. 2つ目は明確な例外を定義し、指定した更新用ドメインを常に直接接続にします。
  3. 3つ目はドメイン集合を使って分類済みサイトを処理し、IP の分類を待つ必要をなくします。
  4. 4つ目はドメインルールで対象外だった場合に、解決後のアドレス集合で補足判定します。
  5. 一致しなかったリクエストは設定のデフォルト経路を使い続け、実際の出口は完全なアウトバウンド構成によって決まります。

結論:アウトバウンドタグを先に固定し、ルーティング条件を後から拡張する

まず分かりやすい3つのタグで proxy、direct、block のアウトバウンドを用意し、その後ルールを1つずつ追加します。タグが安定していれば、ログのルーティング結果を実際の接続に対応づけやすくなり、条件とアウトバウンド定義を同時に調べる必要がありません。

設定でロードバランサーを使う場合、ルールは単一のアウトバウンドを直接指定せず、balancerTag でロードバランサーを参照することがあります。通常のカスタム振り分けでは outboundTag を優先し、セレクターとロードバランサーを実際に設定している場合だけ balancerTag を導入すると、不要な切り分け階層を増やさずに済みます。

v2rayN の設定場所と検証手順

v2rayN 7.x では、まず「設定」→「ルーティング設定」を開き、現在のルーティング設定とプリセットルールを確認します。小さなバージョン違いでボタンの位置が変わる場合はありますが、確認すべき点は同じです。現在有効なルーティング設定、ルールの並び順、最終的に生成されたコア設定が一致しているかを確認してください。

変更後は、ブラウザーでウェブページを開けるかだけを見ないでください。ブラウザーキャッシュ、DNS キャッシュ、既存接続の再利用が結果を隠すことがあります。コアを再起動し、新しい対象への接続を使い、ログレベルを一時的に info または debug にしてルーティング記録を確認します。

  1. 「設定」→「ルーティング設定」で現在選択されているルールセットを確認し、想定される一致ルールの位置を記録します。
  2. ルールの outboundTag を確認し、生成された設定の outbounds[].tag と一字ずつ照合します。
  3. 「設定」→「パラメータ設定」でローカルリスニングとログ関連の項目を確認します。よく使われる SOCKS ポートは 10808、HTTP ポートは 10809 です。
  4. 設定を保存してコアを再起動し、既存のブラウザー接続を閉じるか、新しいテストドメインを使用します。
  5. ログに記録された対象ドメイン、対象アドレス、アウトバウンドタグを確認し、どのルールでリクエストの走査が止まったかを判断します。
  6. 一度に移動または変更するルールは1つだけにし、再テストしてから次の箇所を扱います。複数の変更が互いに影響するのを防げます。
チェックリスト
1. 対象はドメインか IP か
2. domainStrategy は名前解決を実行するか
3. 完全一致ルールはカテゴリルールより前にあるか
4. outboundTag は存在し、大文字・小文字も一致しているか
5. geosite と geoip のデータは正常に読み込まれているか
6. テスト接続は変更後に作成した新しい接続か

ルールが効かないときのよくある切り分け Q&A

ルーティングの問題は、単純な構文エラーではなく、対象形式、名前解決の方針、並び順、アウトバウンドタグが組み合わさって起きることが多いです。まずログに実際に現れている対象を確認し、その後ルール条件と照合するほうが、いきなり一致範囲を広げるより確実です。

geoip:cn を指定したのに、ドメインがプロキシ経由になるのはなぜ?

まず domainStrategy を確認します。AsIs の場合、ドメインリクエストは後方の IP ルールだけを理由に自動解決されません。設定の目的に応じて IPIfNonMatch に変更し、接続を作り直してからログを確認してください。

完全一致のドメインルールが geosite を上書きできないのはなぜ?

完全一致ルールが geosite ルールより前にあるか確認し、full:ホスト名 を使っていることを確認します。前方の広範なルールがすでに一致している場合、後方の完全一致ルールは実行されません。

同じルールに domain と ip を同時に指定するとどうなる?

2種類の条件を同時に満たす必要があります。対象ドメインが domain に一致しても、解決されたアドレスが ip 集合に含まれなければ、ルール全体は一致しません。「ドメインまたは IP のいずれかに一致」を表したい場合は、2つのルールに分けます。

outboundTag のスペルは正しいのに、接続に失敗するのはなぜ?

対応するアウトバウンドが単独で接続を確立できるか、タグの大文字・小文字、ノードパラメータ、トランスポート設定が有効かを続けて確認します。ルーティングに一致しても出口が選ばれただけで、そのアウトバウンドの接続成功まで保証されるわけではありません。

ルールを変更しても結果が変わらないのはなぜ?

保存後にコアを再起動し、既存の長時間接続を閉じ、テストアプリの接続再利用状態をクリアします。その後、まだアクセスしていないテスト用ホスト名で新しいリクエストを送り、最新ログからアウトバウンドタグを確認します。

最終的な設定では、各ルールの目的を読み取れる状態に保ちます。1つのルールで1つの明確な意図を処理し、タグ名は出口の用途を表し、例外ルールは対象の直前に置きます。ルールが増えた後も、明確な順序と最小限の条件のほうが、キーワードを積み重ねるより長期的に保守しやすくなります。

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